実は奥深いマニアックな土のお話し


「農業は土作りだ!」というフレーズ、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?一方で「土のいらない植物工場こそ農業の未来だ!」というような話もまた耳にすることがあるのではないでしょうか?そこで今回は少し土について掘り下げてみます。

植物工場や水耕栽培が広がっているとはいえ、現在の農業のほとんどは土を使った土耕で行われています。水耕栽培の利点は供給する養分が自由に調整できて、成長を早められることです。ただし、ちゃんと管理しないとまともに育ちません(家庭用の簡易水耕栽培キットで失敗したことありませんか?僕はあります)。
これは土壌の緩衝作用が使えないためです。土壌は水分や養分を吸着して急激な増減を抑えることができます。こうした効果を土壌の緩衝作用と呼びます。これがあるおかげで、ある程度粗い管理でも植物が育ってくれてコストがかからないのが土耕の利点です。

土耕では土壌管理の良しあしで、生産性に大きな差がでます。特に適切な水の管理は土壌の水分特性を把握していないと難しく、土中の有機質や団粒構造などを調整することで水分特性を変えることもできる(いわゆる土づくりの一部)ので、熟練の技が必要です。SenSproutが目指しているのはこの熟練の技を土壌センサーを使ってデータ化し、誰にでもできるものにすることです。

土の水分を理解する上で厄介なのが土ごとの水分特性の違いです。
日本でよく見られる火山灰でできた土壌は土壌粒子に小さな穴がたくさんあるので、水をたくさんひきつけます。いわゆる水持ちがいいということなのですが、土中にある水分全てを植物が使えるかというとそうではありません。地下では植物の根と土壌が水の引っ張り合いをしていて、土壌は乾けば乾くほど強い力で水をひきつけます(乾いた土に水をまくと、すっと染み込んでいくことからもわかりますね)。植物は土壌の引っ張る力に負けないようにイオンの勾配や蒸散を使って水を引き抜こうとしますが、土が乾いてくるとより強い力で引かないといけないのでストレスがかかるというわけです。

植物がどんなに頑張っても引き抜けない土壌水分レベルのことを永久しおれ点といい、ストレスがかかって育ちにくくなるレベルを生長阻害水分点といいます。
農家としては育つスピードを上げたければ、生長阻害水分点をきらないように管理するのがいいことになりますね。では、土壌水分量で、何%が生長阻害水分点なのでしょう?

答えは「土による」です。

火山灰土のように微細な穴があって土を引き付けやすい土壌だと20%程度で阻害点になることがあります。一方で砂で20%というとかなりびしょびしょで、阻害点は5%程度です。これは極端な例ですが、多かれ少なかれ土壌によって何%から生長が阻害されるのかは変わります。
また、土壌から水が染み出すような状態では、根が呼吸できず、いわゆる根腐れなどが生じて、これも生育に悪影響が出ます。では、何%からが過剰な水分量なのでしょうか?これも土によります。

このように土壌というのは管理対象としてなかなかに厄介な存在です。しかも、センサーの反応特性も土質によって変わるので、一般的には土壌毎に校正が必要です。
こうした難しさから、農業用のITシステムでは土壌センサーについては既製品を用いているものが多いのですが、SenSproutでは自前で土壌センサーを開発し、土壌を測り、管理することの難しさに正面から挑んでいます。